■〈首書絵入〉江戸往来[自遣往来](元禄2年板改刻)
【判型】大本3巻合1冊。縦256粍。
【作者】大橋某書。
【年代等】江戸中期刊カ。刊行者不明。
【備考】分類「往来物」。『〈首書絵入〉江戸往来[自遣往来]』(元禄2年板改刻)は、寛文9年刊『江戸往来』の頭書絵抄本である元禄2年刊『〈首書絵入〉江戸往来』([大阪]深江屋太良兵衛板)冒頭頭書の挿絵(江戸城大手門)を改変した往来物。元禄2年板は、『江戸往来』の本文を4行・付訓で記し、頭書に本文要語の略注や挿絵を掲げたもので、元日の諸大名出仕風景から始まり、当日の装束や「三日の御礼」の献上品や三日夜の謡初め、また、正月の江戸城中の主要行事と江戸城中に運ばれる全国の名産品や、江戸府内の名所などを図解する。また、底本巻頭には元禄2年板に欠落していると思われる序文1丁を付し、「『江戸往来』上中下三巻者、大橋氏之手蹟也。天下安泰之文章也。為童蒙入画図於所々令開板、為世間之重宝者也」と記す。なお、『江戸往来』は、全編一通の手紙形式で、第1に年始の挨拶、第2に千代田城内での将軍家を中心とする年始の儀式ならびに行事の有様、第3に諸国より流入する土産・菓肴・衣服・器財・舶来の品々、第4に江戸の広さおよび町々の方角と武家民家の密集する様子、第5に明暦年中に玉川の水を東南の地に引いたことや、万治年中に隅田川に両国橋をかけたこと、第6に不忍池遊興の状況を叙して御代の泰平を謳歌する。このように江戸の案内書も兼ねることから内題を「自遣往来」としたとも考えられる。その構成は『駿河状(駿府往来)』の影響を受けつつ、上記第3-6項のように江戸の武家・庶民が営む生活に即した独自の内容を含み、地理科往来・地誌型を代表する往来物として普及した。本文の約半分を抄録した改題本に明和8年刊『長雄諸産往来』があるほか、江戸中期以降に『江戸往来(異本)』『続江戸往来』『新江戸往来』等の異本や、編集形式を模倣した『繁関往来』等が誕生した。なお、文政3年刊『童子初学往来』所収の「江戸往来」に「堀観中作」と記すが未詳である。
★原装・題簽欠・状態概ね良好。極稀書(全国に所蔵2カ所(国文学研究資料館DB))。